第17章 春高一次予選
まるでブロックが無いかの様に打たれたスパイクが観客の目を引いた。
次のプレーでの9番くんのスパイクは何とか夕が上げ、龍が二段トスを翔陽に上げた。
真ん中にそびえ立つ“高い壁”
冷静に判断して瞬時にフェイントに切り替えたのに、そのボールは相手コートに返ることなく9番くんの手によって自陣のコートに落とされた。
谷「ッ、、、」
「今のは普通ならブロックの上を行く筈なんだ。」
つまり、今までの“普通”が『通じない相手』
大野屋「、、、こりゃさすがにエゲツねぇ、、、。やはり身長ってのはどんな才能よりも“恵まれる”って言葉が似合うモンだな、、、」
技術や体力、経験値はやればやる分だけ身に付く。
けど、身長は生まれ持ったモノだから、、、。
元「、、、高さとかパワーとか、“シンプルで純粋な力”っつうのは一定のレベルを越えてしまうと、途端に常人を寄せ付けないモンになってしまうよな」
まさに彼がソレなんだろう。
けどまぁ、
元「__少なくとも」
「「真っ向勝負では。」」
試合が始まって暫くして、角川対烏野の試合を見ようとギャラリーが集まってきた。
「ホラあれ!2m!」
「うひゃーまじだ」
やはりお目当ては角川の9番くんらしい。