第17章 春高一次予選
淡々と、という訳では無いけど烏野リードで点は重ねられていって、1セット目の後半に入った。
コートの中の彼らは合宿前に比べ動き、と言うか判断が早くなったようだ。
谷「みんな凄いですねっ!!」
「まー合宿中クセのあるハイレベルな奴らとばっかやって来たし、“そっち”に慣れたから今位の相手ならだいぶやりやすいんじゃないかな?」
谷「経験値の差、ってやつですね!」
「うん、そうだね。」
ま、それをもろともしないセンスってのもあるんだろうけど。
その言葉は静かに飲み込んだ。
「おー、セットポイントじゃん。」
相手のスパイクは夕が完璧に上げ、Aクイックから斜めに跳んだ翔陽がコートに沈めた。
1セット目を獲られた扇南には諦めムードが漂っていて、監督の言葉だけが空回りしている。
ベンチに沈黙が訪れた直後、ギャラリーから大きな声をかける男の人がいた。
「アッキー君主将」そう呼ばれているという事は前主将って事か。彼があのバレー部を纏めていたとはあまり想像がつかないけれど。
秋宮「でも1コだけ言っとく!
__“本気”も、“必死”も、“一生懸命”も
格好悪くない!!!」
前言撤回。
彼だから、あのバレー部を纏められたのかもね。
周りからの視線も何も気にせず、堂々と言って除けた彼だから。
アッキー君とやらの言葉を聞いて吹っ切れたのか扇南のキャプテンは会場に響くほどの大声で叫んだ。
十「烏野を倒す!!一次予選突破!!打倒白鳥沢!!!」
観客はざわめいたけれど、ウチは違った。
「「受けて立ァーつ!!」」
烏野は目の前の敵に全力でブチ当たるチームだから。