第16章 お肉争奪戦
それなりに人の行き交う駅近くの大きなスポーツ店にやって来た。
「無駄に人が多いな全く。」
呆れ半分で店へと足を踏み入れた。
カゴを持って必要と言われた物を次々と放り込んで行く。
と、ここで良きせぬ事が起きた。
神様はあたしに試練を与えすぎる気がする。
今直面しているのはそう、、、
「うぅ~、、、届かぬ、、、」
テーピングに手が届かぬのです。
翔陽とあまり身長の変わらないあたしは目的のテーピングに背伸びしてもあと10cm届かない。
「クッ、、、」
恥をしのんで踏み台を探すも見当たらない。
あぁクソ詰んだ。
どうしたもんかと考えていると後ろから声をかけられた。
「何をしている。」
「へ?」
マヌケ丸出しの声で振り向けば、そこには見慣れない制服の高校生(らしからぬ雰囲気の男)が1人。
「何をしていると聞いている。」
失礼か、失礼なやつなのかコイツは。初対面の相手にこんな事思うわたしも失礼だけどコイツはあたし以上だ。
「テーピング、、、」
届かない、なんて言いたくなくてそれだけ言うと「届かないのか」なんてオブラートの欠片も無く返された。やっぱりコイツ失礼なやつだ。