第14章 必殺技
すべての試合が終わった時、体育館をパタパタと走り回るやっちゃんが視界に入った。
雀「谷地さーん!こっちもビブス集めてもらっていー?」
谷「あ、今行きます!!」
自分の頭よりも高く積み上がったビブスはきっと彼女の視界を覆ってしまっているだろう。
あれじゃ足元すら見えていないはずだ。
「やっちゃ「きゃっ」
呼びかけたとほぼ同時くらい
あたしの2m先で(何も無い所なのだが)やっちゃんが躓きゆっくり前に倒れ始めた。
危ない
気づけばほぼ反射的に手を伸ばしていて、背中に鈍い痛みが走った。
「った、、、やっちゃん怪我ない、、、?」
谷「わわた、わたしなんかよりもっ、べべべに先輩はっ!!?」
動揺しているのかいつもの倍呂律の回っていないやっちゃん。
「あたしは大丈夫だよ。やっちゃんはへーき?」
耳から零れた髪をサラッと掻き上げてあげると真っ赤な顔をしてショートしてしまった。
「ちょ、やっちゃん?」
澤「谷地さんだけじゃなくて自分の心配をしなさいっ!!」
「うひゃあ!!?」
突然視界に入ってきただいちはとても不機嫌でいい事をした筈なのに菩薩顔をしたくなりました。