第14章 必殺技
ー澤村ー
あぁクソまただ。
朱莉はいつも目を離すとすぐ何かしら俺の心臓に悪い事ばかりしようとする。
今だって転びそうだった谷地さんの下敷きになるなんて無茶な真似ばかりして、俺の寿命はあと何年縮めばいいんだ。
ショートしてしまった谷地さんの肩にポンと触れるとすぐに元に戻って、これでもかというほど土下座をかまして散らばったビブスを拾い上げ風のように体育館を出ていってしまった。
「やっちゃんに嫌われた、、、?」
いえむしろその逆です。完全にオトされてます。
澤「いいから起きなさい。いつまで寝そべってるつもりだ。」
「起こして。」
澤「自分で起きなさい。」
「ケチんぼ。」
散々ぶーたれながらもヨイショっと年齢に似つかわしく無い言葉を発して起き上がった朱莉。
澤「誰かを助けるのはいいけど、自分の身体も大事にしろよ?」
少し低めの声で言うと俯きながら小さな声で「ん。」と言った。
これは納得いってない時の声だな。
朱莉にはもっと自分を大切にして欲しいのに。こんなにも伝わらないものなのか。