第13章 黒尾
黒「待て待て待て待て待て待て待て待て!!!」
「ちょ、うるさい。」
黒「煩くもなるでしょうよ!何やってんだ!!」
「脱げないみたいだから脱がしてやってるんでしょ。」
黒「分かってる!分かってるけどこれはヤバイって!!!」
「うるせーな。口塞ぐぞ。」
久しぶりに聞いたべにちゃんの荒言葉。
どっちが男か分かったもんじゃないけれど、不覚にも『ベにちゃんの唇で』なんて都合のいい解釈を脳内でしてしまった。
そのせいで俺の顔は彼女の髪と同じくらい赤いことだろう。
「やっと静かになった。」
黒「ッ、、、」
そう言うとべにちゃんは細くて冷たい指で痛くない肩の方から順にシャツを脱がしていった。
「やっぱり少しアザになってる。」
夏なのに冷たい彼女の手が患部に触れ、治療の為だと分かってはいても俺の理性を掻き乱しに来る。
「取り敢えず湿布とテーピングするよ。」
べにちゃんの手よりもさらに冷たい湿布が背中に貼られ、思わず背筋が伸びた。
「ふふっ」
黒「笑うなよ、、、。」
女の笑い声一つで心が暖かくなるのは生まれて初めてだった。
「じゃあテーピングに移るよ。」
あーまた理性と本能で戦わなきゃなんねーのか。