第13章 黒尾
「クロ今日一日休めとは言わない。この試合だけでも休んで身体に問題ないことを確かめさせて。」
黒「もう痛くねえって。」
何をそんなに頑なになっているのだろう。
たかが、なんてことは言わない。
けどこれは練習試合で、本番ではない。
自分の身体が万全でなくては良いパフォーマンスなんて出来るはずかないことくらいクロなら分かっているはずなのに。
猫「黒尾、一度保健室に行ってきなさい。」
だれの言葉も聞き入れようとしないクロに猫又監督も痺れを切らしたのか、声をかけた。
黒「問題ありません。大丈夫です。」
これにはさすがのあたしも限界を迎えた。
「自分の身体を大事にできない人なんて大ッ嫌い。」
ボソッと呟いたはずだったのにそれは音駒のみんなの耳に届いていて、当事者のクロも目を見開いてこちらを見ていた。
「勝手すれば?怪我が悪化して、この合宿だけじゃなくゴミ捨て場の決戦も果たせず、バレーが出来なくなってもいいならこのまま試合しろよ。」
そこまでひどい怪我じゃないことはわかっている。
それでも、もし後に影響が及ぶ可能性はゼロじゃない。
「あたしの知ってるクロはそんな事しないはずだけど。」
そう言うと一度グッと拳を握り締めて力を抜き、
黒「分かったよ。」
そう言ってくれた。