第12章 眩しい
あたしよりもずっと背の高い彼に抱えられると目線も高くなるのは必然的で、最早未知の世界に等しい。
「っうあわあ!コタ降ろせっ!」
木「お?良いのか?」
パッとあたしの身体から手を離すと同時にやってくる落ちる感覚と恐怖。
「きゃあっ」
突然の出来事にコタの首にしがみつくと瞬時にしっかりとした腕に身体を受け止められた。
木「無理すんなっての。」
ニシシッと笑うコタの笑顔も眩しくて引っ込めたはずの涙がまた出てきそうになる。
これ以上眩しい笑顔を見たくなくてコタの首に抱きつくような形で顔を埋めた。
たくさん流したであろう汗の匂いに混じってほのかに香る太陽みたいな匂い。
この人はまるで存在そのものが太陽みたいだ。
無駄なくつけられた筋肉、この場所に登り詰めるまで相当努力し、バレーの事だけを考えてきたのだろう。
だいちとは少し違うけど、凄く、落ち着く。
シャットアウトしそうな意識を保とうと頑張ってはいたけれど体育館についた頃には完全におちた。