第12章 眩しい
「前前ー!!」
「ナイスレシーブ!!」
「トス寄こせぇーッ」
止まることなくコートを行き来するボール。
跳んで、拾って、上げて、打ってを繰り返す選手。
暑さと疲労で苦しそうなのにどこか楽しそう。
点が決まった時に見せる笑顔は太陽より輝いて見えて、肌を滑る汗ですらあたしにとっては眩しい。
ここに来てから何度目かの“羨ましい”が頭に浮かんだ。
ツキンっ
小さく頭に痛みが走った。
「ッ、、、。すみません。少し抜けます。」
猫「お?、、あぁ、無理はしないようにな。」
「ハイ。スミマセン。」
猫又監督に断りを入れて芝山くんにボトルやタオルをお願いして体育館から出た。
フラフラする視界に、顔を顰めずには居られないような頭の痛み。
太陽の日差しにも忙しく鳴く蝉の声も
すべてが煩わしく感じて校舎の影に座り込んだ。
「さいっ、あく」
体調が崩れると無性に泣きたくなる。
「〜ッ。」
それに最近は
「だい、、、ち。」
彼の名前を呼んでしまう。
呼んでも返ってこない返事にまた泣きそうになった。