第10章 エースの意地
僕の兄は中学時代、エースとして活躍していた。
一人で何点も獲って周りからもすごいねって言われていた。
高校は強豪と呼ばれていた烏野に行った。
絶対全国に行ってやると言って。
約一年後
兄は自主練でヘトヘトになりながらもレギュラー入りを目指して全力を注いでいた。
バレー一色のまま、兄の一年はあっという間に過ぎた。
蛍「兄ちゃん明日試合でしょ?見に行ってもいい?」
明「う〜ん、見られると緊張するからダメ!」
蛍「えーーーー
ねえ、今ってポジションどこ?中学と同じ?」
明「そうだよ」
蛍「じゃあエースだ!」
明「、、、、まあな!」
きっとこの時の言葉が兄に嘘をつかせてしまうきっかけだったんだろう。
兄と毎日バレーの話をした。
“今日、ここを褒められた、怒られた”
“コレがうまくいった、調子が良かった、悪かった”
明「あとな、バレーは“繋ぎ”が命なんだから周りの子達とも仲良くしろよ?」
蛍「、、、してるし」
明「うそつけ!その顔バレバレだっつーの!」
僕達は、すごく仲が良かったんだ。