第34章 林檎ちゃん
「…てな感じかな。
4人の前では話すけど人前では話さなかったんだよね」
少し照れ臭そうに話してくれた。
「そーそー。
人前だとなーんも喋んないし笑わないから、ちょー怖かったんだよ??」
「あなたもでしょ」
すかさず和先輩が雅紀先輩にツッコミを入れた。
「あひゃひゃ、そうだねー」
「でも…どうして?」
「ん?無口になったのかってこと?」
「うん。
元からそうなの?」
「それはね、自分の発言力を知ったからだよ」
ちょっと困ったように眉尻を下げた智先輩。
「発言力?」
それがどう関係するのかな?
「俺がなんか言うとね、ホントになっちゃうんだ。
さっきの話の子は自主退学したの」
「え?自主退学…」
“ 退学 ” という言葉が重く響いた。
「あとで知ったんだけど、その子の会社倒産したんだって」
それが発言力のこととどう関係あるのか分からず、首を傾げる。