第2章 幼少期
―――…カチ、コチ、カチ、コチ…
この静かなリビングの中、時計の秒針の音がやけに耳につく
私が問題とも言える発言をしたあと、両親もびっくりしているのか私の方を見て硬直している。
……そうだ、私、なんでちゃんと考えてなかったんだろう。私は今小学生で…冗談だと思われるし、本気で捉えてくれても、もしかしたら…ダメって言われてしまうかもしれない
慌てて、何か言おうとした瞬間、お母さんがゆっくりと椅子から立ち上がった
俯いてて、表情が見えない
それがなんだか怖くて、動けないでいたらお母さんが目の前まで歩み寄ってきた
そして、私の肩を掴んだお母さんの顔は……
―――…とてもキラキラと輝いていました
「思音!それ、本当に!?冗談じゃないでしょうね?」
「……えっ?ああ、うん、ほ、本当だよ」
「まぁ!お母さん嬉しいわ!まさかあなたから言ってくれるなんて…あなた!」
「ははっ、母さんったら、大袈裟だぞ」
っと、二人共とても幸せそうに笑っていた。
……いや、ちょっと待って、全然理解できないんだけど…えっと、とりあえずは良いっぽいね、うん
ていうか、あなたから言ってくれるなんて…って、まさか…もともとあの事務所にいれようとしてたのかな、この私を…
「あ、でもいきなり事務所、なんて無理よねぇ、あそこの社長はむちゃくちゃなことばかりやってるけど、ちゃんとすることはしてるし、厳しいものね」
「そうだな…。今の思音じゃぁ、音楽についての勉学が足りないし、今からオーディション受けても絶対に落ちるだろう」
……なんか、グサッとくるな、色々と…
そこまで静かに聞いていた私に振り返る両親。
急に飛んできた二つの視線に首を傾げるも、気にせず二人はじっと私を見てきた
「…思音、アイドルか、作曲家になる気、ない?」
「…え?」
「僕たちが知ってる範囲じゃ、なかなか難しいけど…作曲なら母さんが少し手をつけていてね。それ以上に難しいことを…早乙女学園で学んでほしいんだ」
………もう、私は何も言うことがなくなりました、まる