第3章 受験
会場に着くと、どうやら席は指定されているみたいで翔くんと別れて指定席へと向かう
席に座り落ち着くと、先ほどの事を思い返す
…うん、やっぱり春ちゃんだ
それにしても、みんなと同期で良かった
一年違いとかだったらどうしようかと…
と、なんとなく頬杖をついて周りを見回しながら思っていると
既に隣に座っていた人とばちりと目があった
その相手に私は勢いよく目を見開く
「………どうしましたか?」
私がガン見して固まっているのに不快に思ったのか眉間にシワを寄せて言う
…いやいやいや、どうしたもこうしたも…まさか隣の席が一ノ瀬トキヤだなんて…っ!
ていうか、小さい頃に会った時のこと…この様子だと、忘れちゃったのだろうか…?
「…あ、えと、すみませんっ!誰かに似てるなぁ、と思って…」
「……HAYATO、ですか?」
「え?HAYATO?」
うわあああああっ、私余計な事言っちゃったよ!
別にHAYATOのことなんて一切考えてなかったよ!
ごめんイッチー、貴方の口からそんなことを言わせるようなことをしてしまって…
つか私も思わず疑問形になっちゃった!
トキヤも、え?知らないの?みたいな顔で私の事を凝視している
いやでもこんなに驚いた顔初めて見た幼少時代以来のレア顔だ
……じゃなくて、どうしよう
ここはもう…知らないフリするしか…
基本的にテレビとか見てないし、実際HAYATOが出ている番組とか見たことない。…これからは見よう、うん
「…は、HAYATOは…どちら様でしょうか?」
…あれ、日本語おかしい?
「HAYATOを…知らないんですか?」
そっと頷いて、トキヤを見る
…知らないわけがない
「…なるほど、だから…」
「え?」
「いえ、こちらの話です」
「は、はぁ…」
すごい納得してるんだけど…え、なにに納得したんだろう