第3章 受験
「…なんだよ、俺様の顔になにかついてるか?」
「―――…っっ!!」
声にならない声を上げるとバッと少年と距離を取る
今、私は顔が真っ赤だろう
―――…だって、目の前に来栖翔が…っ!!
「えと、あ、あああの、すみません、ありがとうございますっ!」
私はもう土下座する勢いで頭を下げた
「気にすんなって。俺もちゃんと前見て歩かなかったのが悪かったしな…」
にっと笑ってみせる翔ちゃんが眩しいかっこいい可愛い
「つか、お前もここにいるってことは同じ受験生か!会場まで一緒に行こうぜ?」
「え?あ、は、はい!」
そこで翔ちゃんはぷっと吹き出すと大笑いする
…私、変なこと言ったのだろうか
「年、あんまり変わらねーだろ?だからタメな!あと、自己紹介遅れたけど、俺様は来栖翔!将来、日本一になる男だ、覚えとけ!」
どんっと胸を張って言うと、にって笑う翔ちゃん。いやもうかっこかわいい…
「もちろんで…いや、もちろんだよ!私は宮野思音!よろしくね、翔ちゃ…く、来栖くん!」
あ、危ない危ない、いつも呼んでいるあだ名で呼びそうになるのを堪え(ほぼ言ってしまったが)笑顔で名前を呼ぶ
すると、来栖くんはくすくすと笑いながら
「俺のことは、名前でもいいぜ?」
と、言ってくれました
さすが過ぎます王子
気づけば時間が迫ってる事に気付いて慌てて会場の方へと向かう
何やら門の方が騒いでいたのでちらっと横目で見ると、そこには、一瞬しか見えなかったけど…ピンク色の髪の女の子が必死に警備員さんに頭を下げてるのが見えた
……なんだろう、とても見たことのある光景だ
そうだ、アニメで…
「宮野?どうしたんだよ、急がねーと遅刻するぞ!」
「あ、うん!」
翔くんの言葉にハッとなり考えるのを止めて翔くんの後を追う
……考えなくても、あれは多分…いや絶対、七海春歌…だと、思う