第2章 幼少期
「ねぇ、僕の歌…聴いてくれる?」
え、とびっくりして思わず立ち上がりトキヤを見るも有無を言わさず、急に歌いだした
―――…Amazing Grace
確か、アニメの…何話だっけ。歌ってたよね…
子供とは思えない、歌唱力に鳥肌がたち、思わず自分の体を軽く抱きしめる
…本物だ。まだ子供だから少し声が高いけど、トキヤだ
……でも、何か足りない。なんだろう…心はこもってるのに、どこかぎこちないところが目立つ
もしかして…
「…緊張してる?」
「っ、」
小さな声でぼそりと言ったつもりが、トキヤに聞こえたのか、歌声が消えた
ああ、残念…、と心の中で思いつつトキヤを見つめていると、トキヤが振り返った
「…情けないよね…別にこの歌を劇で歌うわけじゃないんだけど…最近、自信が持てなくて…」
…わぁ、敬語じゃないトキヤ新鮮…とか思いつつ、トキヤの言葉を考える
どっかの劇団でも入ってるのかな?
トキヤは努力家…だもんな、確か。
ていうか、こんな見ず知らずの私に話してくれるとは…ちゃんとこたえてあげないと、ね
「…そうなんだ。でも、さっきの歌…すごかったよ!すっごく心に響いた…ちゃんと、心を込めて歌ってるんだね、伝わったよ…たくさんの気持ち」
自分の素直な感想を口にすると、トキヤは目を見開いた
…変な事でも言ってしまったのだろうか
しばらくそのまま立ちすくんでいるトキヤに声をかけると我にかえったようにハッとなった
…小さい頃のトキヤは表情豊かで可愛いな…
「…あ、うん、ごめん…ありがとう、ちょっと…自信、ついたかも…」
「そっか、それなら良かった!頑張ってね、応援してるよ!」
トキヤはうん、と笑顔で頷いた。かっ可愛すぎ…っ!!