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【銀魂】万事屋のお隣さん。

第10章 運命なんて信じたくないよ



「………っ、」
「美和さん、顔真っ青ですよ!大丈夫ですか!?」
「まさかお前、心当たりあんのか!?」
「……、水明……」
「すい…めい…?」
「…私を探している男の…名前です…」

黒髪とは不釣り合いな深い碧の瞳を持った_____
彼は、私が物心ついたときから側にいた。

「水明っていうのは……」


「俺を呼んだかい?お嬢様」

ぞく、と。
身の毛もよだつような悪寒。歯が自然に音を立てた。坂田さんと新八くんが私の後ろを食い入るように見つめている。だめだ、振り返っては。私の後ろには、

「オイつれねェな、京とやらに行ったときは会えなかったから_____何年ぶりかの感動の再会ってやつなのに、俺の顔すら見てくれないのかよ」
「や、やだっ……!!」

じゃり、と地面を踏みしめる音が聞こえた。彼の息遣いを近くに感じる。坂田さんに手を伸ばしたくても体が強張って動かなかった。

「美和!!」

その声とともに、私の体はぐいっと引き寄せられた。暖かい温もり。片手で守るように抱き寄せられる。彼が_____坂田さんが、右手で腰にさしていた木刀を抜いた。

「オイおにーちゃんよォ。人の女に手ェだすなんて野暮だとは思わねェか?」
「何惚けたこと言ってんだい?地球の猿共が」

肌を突き刺すような殺気を感じる。恐る恐る視線を前に向ければ、昔と全く変わらない、黒い彼の姿があった。

「やっと俺を見てくれたねェ、美和おじょーさん。霰紫(サンシ)様がお呼びですよ。帰りましょ?」

聞きたくもない声で、聞きたくもない人の名を呼ぶ彼。口調こそ軽いものの、歪めた口元と笑っていない群青の目は、私を震え上がらせるには十分だった。

「貴方の居場所はここじゃない、闇の中だ」

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