• テキストサイズ

【銀魂】万事屋のお隣さん。

第7章 唇から伝染する



「いや、あの、でも私、佐賀見さんのこと全然知らないので」
「そうですよね……。あ!そうだ、俺、今週の日曜日の朝10時に大江戸遊園地の前で待っていますから!失礼します!」

あの後にそんな話を一方的にされて、彼は雑踏の中へ走って行ってしまった。呆然とする私に、たまさんが至って冷静に声をかけた。「これがモテ期というやつですね」
綺麗な人にこんなことは言いたくないが、できれば黙ってほしい。





「あ!美和アル!久しぶりネ!!」
「美和さん、こんにちは!前はロールケーキご馳走様でした」
「神楽ちゃん、新八くん久しぶり。おいしかったみたいでよかった!………さ、坂田さんいる?」
「銀さんですか?昨日だいぶ飲んできたみたいで、まだ部屋で寝ているんですよ」
「あの呑んだくれはどうしようもないアル。働け社会人」

夕刻、私は万事屋を訪ねた。言わずもがな坂田銀時に会うためだ。
少しドキドキしながら戸を叩いた私を茶化すような、坂田さんは寝ているという知らせ。叩き起こしちゃっていいですよ、と新八くんが坂田さんの寝室へ案内してくれた。神楽ちゃんは、リビングで、私が手土産として持ってきたチョコレートを貪っているだろう。

部屋に入れば、こっちに背を向けるようにして丸くなっている体が目に入ってきた。新八くんによってゆっくり襖が閉められ、その空間に私と坂田さんだけになる。

「坂田さん、」

返事はない。

歩み寄れば、彼の瞼は固く閉じられていた。ふわふわした髪はいつもより少しボサボサで、私はおもわず手を伸ばしていた。

「なァに、美和ちゃん。夜這いですかァ?」
「ひっ、!」

その瞬間、彼の瞳がきらりと輝いた____気がした。撫でていたはずの手は掴まれ、寝ていたはずの彼は上半身を上げる。

「坂田さんに、話したいことがあって……って、ちょ!」
「ん〜……」
「何やってんですか!坂田さ、っん、…やっ」

私の言葉を遮るように、坂田さんの唇が私のそれを塞ぐ。身をよじれば、腰に手を回されて、ぐっと引き寄せられる。

「ヤじゃねーだろ。お前もしたかったくせに」
「な、ちが…!私は、坂田さんにっ」
「照れんなって」

感じる坂田さんの体温。流されてしまう。駄目だ、そう思うのに体は動かなくて、その代りに双眼が熱くなる。

「ちが、違います…坂田さん、離してください…」
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp