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【銀魂】万事屋のお隣さん。

第7章 唇から伝染する



あの日____坂田さんと私がそういう関係になった日だが____から、幾日か経ったというのに、私たちの間には驚くほど何もなかった。

「はぁぁぁ……」
「美和様、不快指数が上がっていますがどうされましたか」
「たまさん…」
「銀時様のことでしたら問題ないと思いますが」

エスパーかよ。
神楽ちゃんやお登勢さんたちには未だにばれていない、私と坂田さんが一応付き合っているという事実。めんどくさいことになるのは目に見えていたし、わざわざ言う必要もないと思って隠してきた。
でもからくりにはそんなこと通用しないとばかりに、あくる日の朝「おめでとうございます」とあいさつしてきた時には目玉が飛び出るかと思った。

「銀時様は素直な方ではありませんから。最近はやりのツンデレというやつかと」
「はい…」
「私のデータに恋愛に関するものは存在しませんのでお役には立てません。申し訳ありません」
「い、いえそんな」

深々と頭をさげるたまさんに少し慌てて顔を上げてもらう。たまさんは本当に綺麗な人____いやからくりだ。
からくりだということを忘れてしまうほどに、外見も心も綺麗だと常々思う。

「あ、あの!!お時間よろしいですか!」

「たまさん、知り合いの方ですか?」
「彼は美和様に用事があるようですが」
「え?なわけないじゃないですかー」

道で偶然会ったたまさんと一緒に帰っていれば、急に後ろから声をかけられた。そこには黒縁メガネをかけた、爽やかそうな男性が、顔を真っ赤にして立っていた。彼が声をかけたことは明白である。

「紗倉美和さんですよね!」
「は、はい」
「俺、佐賀見といいます。佐賀見慎二です」
「さがみ…しんじさん……」

名前を反復してみるも、聞いたことのない名前だった。首をかしげていると、佐賀見さんとやらは真っ赤な顔のまま私へ近づき、私の両手を握りしめた。

「あの……」
「俺、貴方のことをずっと見ていました!好きです!俺と付き合ってくれませんか?」

え。

ええええええ。
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