第6章 こんな想いは初めてで
「こんばんは、志村妙です。新ちゃんがいつもお世話になってます」
「あ、いえ!紗倉美和です。新八くんにはいつも私の方がお世話になって……」
「ふふ。歳、同じくらいよね。同年代のお友達なんてそうそういないから、うれしくなっちゃった。美和って呼んでもいいかしら」
「も、もちろん!よろしくねお妙ちゃん!」
あの後、二人の勘違い(真実も混ざっているかもしれなくもないけど)により、新八くんが私にお姉さんを紹介してくれた。今日の朝、坂田さんは私がいないことを確認するために私の家のドアノブをぶっ壊したらしい。
その修理があるため、今日は志村家にお泊まりすることになったのだ。
「あっ!せっかくだから、今日は、外に食べに行きましょう。お寿司屋さんなんてどうかしら」
「そうだね!行こう!」
お妙ちゃんと二人で夕暮れの街を歩く。新八くんにはお持ち帰り用のお寿司を買おうという話で落ち着いて、たわいも無い話をしながら歩く。
「それでね____」
お妙ちゃんは本当に美人だ。顔は小さいし、言葉遣いも上品。こんな内も外見も綺麗な人、きっと引く手数多なんだろうな____
そう思った時だった。
「お妙さん!今日は外で夕飯ですか!?この近藤勲、悪い虫がつかないようにお供いたしまブフォ」
「てめーが悪い虫だこのゴリラァァァ!!!」
……え。
いや、素晴らしいアッパーをかましたお妙ちゃんにも驚いたけど、もっと驚いたのは、その殴られた張本人だった。
「あら、やだ!こんなとこ見られるなんて恥ずかしい」
「………この人って、真選組の…」
「美和、知ってるの?それに、こんなのは人じゃなくてゴリラでいいのよ!こんなゴリラが警察なんて世も末よねえ」
家の塀に突き刺さった近藤さん____もといゴリラさんを見て、人は外見によらないことを再認識したのであった。