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【銀魂】万事屋のお隣さん。

第6章 こんな想いは初めてで



「ん……っ」
「おー、目ぇ覚めたか」
「坂田さん……?ここは…」
「ん?俺ん家」

ああ、そうだ。
だんだん意識がはっきりしてきた。坂田さんは、いつものように1人掛けの椅子に座ってジャンプを読んでいた。
身体を起こせば、総悟くんのブレザーがぱさりと落ちる。これも洗って返さなければ。
窓の外はもう夕暮れだった。解放されたのがきっと昼にならない頃辺りだから_____丸一日寝てしまっていたのか。

「………あれ」

そこで違和感に気付いた。あれ?私、意識を飛ばした頃は自分の着物を着ていたはず(大惨事だったけど)。なのに今は、何時ぞやの小さめの着流しを着ていた。小さめといっても、男性用なわけで、寝ている間に着崩れしてしまっていた。

「なんで私、この格好なんですか」
「………。」
「さ、坂田さん……!?まさか……!!」
「いや、ちょっと待て勘違いすんなよ?あの格好じゃ風邪引くかな?と思った銀さんの優しい心遣いであって、下心とかそういうんじゃ……」
「見たんですね!?」

恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。実際出てるかもしれない。……いくら疲れていたとはいえあんな格好で寝たのが間違いだったんだ。ああ、恥ずかしい。

「まァ、理由をつけんなら……」
「ひっ!?坂田さん!?」
「”消毒”ってコトでいいんじゃね?」

坂田さんが大股で私には近寄り、顎に手を添えて顔を近づける。
私はその状況に、うっと息を呑んだ。彼の赤い瞳が私を見据えている。こんな状況は前にもあった、あの時も確か、家で、二人っきりで……_____

「これでも結構マジで心配したんだよ銀さん」
「あの、その節は、ご迷惑を……って、近い近い近い!!」
「お前が、もう帰って来ねーんじゃねーかって思って」

私と坂田さんの距離なんて、鼻と鼻が擦れるような距離だ。下手に動けば唇同士が触れ合ってしまうような。

「………何でェ、お前、逃げねーの?」
「………っ、」
「自惚れちゃうよ、銀さん」

前回と違う状況、それは_____坂田さんに、一つの強引さもないことだ。
手を押さえつけられているわけでもないし、この前みたいに足蹴りだってできる。顎の手は、あくまで添えてあるだけだ。

「……っん、」

坂田さんの目を見つめ返した時、彼が目を伏せて_____

唇が、重なった。
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