第2章 2
『ごめんなさい……ごめんなさい先輩ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさい……』
血で赤くなるのも構わず、彼女に縋り付いて小さな子供のように声をあげていつまでも泣いていた。
「ッ!?」
目が覚めると、そこはいつも寝床として使っている放送室。隣にはカルマが寝息を立ててぐっすり眠っている。少し離れた場所で茅野が毛布に包まっている。
(夢……)
化け物へと転移してしまった先輩。それを殺したのは自分だ。
渚は再び瞼を下ろすと、かつて自分に向けられていた明るくて可愛いらしい彼女の笑顔を思い浮かべていた。
「じゃあ肝試し始めよっか!」
3階の中央廊下。前から約束していた肝試しを今夜やるらしく、茅野が明るく言う。
「じゃあまずは購買部、次に図書室。みんなで何か証拠の品を取ってきて、もしはぐれたら声を出さずにこの階段まで戻ること。いい?」
カルマが一連の流れを説明する。渚と茅野はこくこくと頷いて、異議がないことを伝える。
「知ってる? 幽霊ってね、すごく寂しがりやで人の声に寄って来るんだって」
茅野はCDラジカセにスイッチを入れて、音楽を流す。
『幽霊』とは言うまでもなく、ゾンビのことだ。奴らは音に反応することをこの半年間で学んだ。
奴らを引き寄せてるうちに、さっさと肝試しを終わらせてしまおう。
この学校の購買部は本当に色々な物がある。
運動部員が忘れた時のためにシャンプーやタオル、下着まである。
その他に手芸部の服飾を始めとして様々な部活動で作られた生徒手作りの品が並んでいる。
「お菓子の賞味期限切れちゃってる……」
「少しくらいなら大丈夫だって。生物じゃないし。あ、わさびあるじゃん。持ってこ」
「何に使うの?」
何故か調味料まで売っていたりと、なんとも不思議な学校ではあるが、そのおかげでなんとか助かっている。茅野とカルマは鞄に詰められるだけ詰めていく。