第2章 紙とペン
「よくわかったわ……」
(……やっぱダメかな、マネージャーなんて)
読み終わった女先輩の表情からして無理かなと思った。
緊急な連絡事項があっても口頭で伝えられないから……邪魔になるだけかなと。
帝光では他にも沢山マネージャーがいたからなんとか成り立っていた。
何も話せない私がいても、緊急の時はさつき達が助けてくれたし、仲の良かった人達は「なんとなく言いたい事はわかる」と、私が書かなくても大体は読み取ってくれていた。
けど初めからそうだったわけじゃない。
彼らでも1年は全くわからなかったと言っていた。
一緒に過ごす時間が長かったから出来た事だろう。
「そう暗い顔しない!こっちは大歓迎よ!」
(えっ……ほ、本当かな……)
「嘘は言わないわ。部員も欲しいけど、マネージャーも1人くらい欲しいなと思ってたから」
そういえばこの人はなんだろう。
女子だからマネージャーかなと最初思ったけど、なんだか1番立場が上そうな感じもあってよくわからない。
って、頭に疑問が浮かんだら先ずは聞こう。
この人は私の事情を把握してくれたから、書くのに必要な時間をくれるはずだ。
【あなたはマネージャーですか?】
「いいえ違うわよ。私はカントクの相田リコ!よろしくねちゃん!」
(……ええっ?!か、カントク?!)
……まさかの答えである。
生徒が監督を務めているだなんて今まで聞いた事がない。
これっていいのだろうか。
いや、いいのだろう。
でもこれでさっきの疑問が解消された。
だからちょっと偉そうなんだ……というのは黙っておく。
【ありがとうございます!精一杯頑張ります!】
「頼もしいわね!じゃんじゃん仕事任せちゃうわよ?」
【そんな笑顔で言わないで下さい……】