第8章 海常高校
火神side
さっきは怒ってたくせにもう表情が柔らかくなっている。
見ていると飽きないけど……海常に来てからずっと、黄瀬によって表情が変わっているからなんか面白くない。
「どうしたんですか、火神くん」
「っ!なんでもねぇよ!」
どうやら不満が顔に出ていたらしい。
黒子に問いかけられたけど、素直に言えるわけないから誤魔化した。
まだこっちを見てくる奴の瞳の前では、嘘をついても全て見透かされそう。
だからあまり俺を見つめないでほしい。
への想いまでバレそうだ。
「……僕も面白くないです。この練習試合、絶対勝ちましょう」
(ってそれはバレてるし!!つかなんかオーラすげぇ……)
結局心を読まれてしまったのはさておき。
「僕も面白くない」という事は……黒子もの事が好きなのだろうか。
……いや、そうに違いない。
黄瀬がウチに来た時もキレてたし、そこでもが絡んでた。
「当たり前だろ。つか黒子」
「なんですか?」
「お前……その……」
「ハッキリ言ってください」
「っ……お前ってもしかして……の事好きなのか?」
「はい」
どうしても気になって質問してみたが拍子抜けした。
人が思い切って聞いたのにこいつは即答。
少しは言うのに躊躇わねぇのかよと思った。
となるとに想いを寄せているのは、俺が把握してるので黄瀬と黒子と自分の3人になる。
この中では俺が1番不利だ。
何故ならと俺は高校で知り合ったから。
中学からではない。
「おまっ!よくサラッと言えるな!!」
「嘘ついてもしょうがないじゃないですか」
「ここは ちげーよ とか言ったりするだろ!」
「それは火神くんなんじゃないですか」
「うっ……」
けどそんなの関係ねぇと思う。
1番脈がないからって諦める事はしたくない。
まあ今まで「可愛いな」と思うような女は何人かいた。
けど「好きだな」と思える女は1人もいなかったから……俺にとっては初恋になる。
「図星ですね」
「ちげーよ!俺だって嘘つかねぇし!」
「なら聞きます。火神くんもさんの事が好きなんですか」
「っ……ああ好きだよ!!」