第7章 練習試合前日
火神side
俺は……もう自分でも何にキレているのかよくわからなくなってきていた。
初めは黄瀬に対してだった事は覚えてるけど、あいつを考えるとどうしてもまで浮かんできてしまう。
惚れないようにとセーブをかけてた俺。
既に恋心が芽生えてしまっているのに見ないふりをしている俺。
の事が好きだと認めてしまえば、今みたいに混乱して訳が分からなくなるという現象にはなっていなかっただろう。
【2人で何してるの……?】
「のあっ?!いきなりメモ見せてくんな!」
(あ……ごめん……)
本当はこうして話しかけてくれて嬉しい。
比較的大人しい方のは黒子の方がお似合いなのに、全くの真逆である俺に怖がることなく近寄ってくれる事が嬉しい。
なのに俺は素直になれないから……乱暴な口調で、ついでに眉まで寄せて口を開いてしまう。
「しょげんなよ!」
【だって怒ってる……】
「キレてねぇっつーの!!」
もし芽を出した本当の気持ちに目を向けれたら、少しは優しく接してあげれるのだろうか。
「悪りぃ、別に怒ってるわけじゃねぇんだ」とか言ってあげられるんだろうか。
認める事が出来たなら……きっと今とは違う表情にさせてあげられただろう。
に悲しそうな顔はさせたくない。
「……悪りぃ」
「……?」
(え……?)
「……デカい声出して悪かったって言ってんだよ」
今の俺は確実に照れている。
に謝る事がこんなにも胸の鼓動を早めるなんて思ってなかった。
顔見れないし……寧ろ背中向けてしまう俺だけど、は回り込んで不思議そうにこっちを見つめてくる。
それが……可愛くてしょうがない。
「みっ!見んな!」
「??」
(どうして……?)
「女に見つめられんのは慣れてねぇんだよ!」
バスケ部のマネージャーなら……きっと俺の気持ちをわかってくれる。
練習に打ち込んでいても理解してくれる。
でもだからってお粗末にはしないから……今この瞬間から、お前に想いを寄せていいだろうか。
(ふふっ……!)
「っ!バカにしてんのかテメェ!」
けど直接聞く事は出来ないから、もう自分で決めさせてもらう。
俺は……
お前が好きだと。