第6章 キセキの世代・黄瀬涼太
火神side
折角キセキの世代の力を少し見れたというのに、なんだかイマイチ締まらない。
黄瀬達を見てたらテンション下がるわイライラするわで……自分でも今の感情を理解出来なかった。
しかしこの苛立ちは……黄瀬が煩いからだろうか。
「つか男が一々泣いてんじゃねぇよ」
「だってっちにフられたんスよぉ……?後黒子っちにも……」
「だからついでみたいな言い方はやめてもらえませんか」
「っちぃー大好きっスよぉ……!」
「!!」
(ちょっとまたっ……!)
いや、少し違う気がする。
確かに黄瀬は煩いし、女に纏わり付いて気持ち悪いとは思う。
けど相手がだから……多分こんなに苛立つんだろう。
触るな。
抱きかかえるな。
そいつの名前呼ぶな。
とにかくから離れてほしくて……俺は黄瀬の前に立って、グッと力を入れて肩を掴んだ。
「いっ……!痛いんスけど何?!」
「降ろせよ」
「嫌っス」
「普通に困ってんじゃねぇか!」
「これは照れてるだけっスよ!」
ただ悔しくも思う。
男の俺から見ても見た目は悪くないしバスケも強い。
これなら女達は集るはずだと、さっきのサイン会の光景を思い出しながら考えた。
でもは……
(りょ、涼太くんっ……離して……っ)
「そうだ!練習終わったら一緒に帰らねぇっスか?ねっ!」
「?!」
(ええっ……ど、どうしよう……)
「決まりっス!やった!」
(まだ返事してないよぉ……っ)
は……どっからどう見てもその辺の女とは違う。
顔を赤くしているのは気に入らないけど、喜んでいるようにはとてもじゃないけど見えなかった。
イケメンで自分を好いてくれている奴に惚れてないとなると……自分にもまだ望みはありそうだ。
(って……俺は好きじゃねぇよ!)