第6章 キセキの世代・黄瀬涼太
黒子side
黄瀬くんにさんは渡さない。
それに2人とも誠凛で頑張るって決めたんだから断るに決まってる。
だから僕は、彼女の手を握る黄瀬くんを引き剥がして頭を下げた。
自分が言わなくても、さんは彼にごめんなさいと言っていた筈だけど……ここは僕が守りたくて。
「どうしてっスか黒子っちぃ!ここに居たって宝の持ち腐れっスよ!」
「僕達は約束しました。キミ達……キセキの世代を倒すと」
「らしくねぇっスよ、勝つ事が全てだったのに。ていうかっちもなんスか?!」
(う、うん……)
帝光中にいた頃から、黄瀬くんが1番さんにベタベタしていた。
部活前は暇さえあればさんに会いに行き、
体育館に着けば早々に抱きつき、
休憩中もさんと話し、
一緒に帰ろうと誘う。
そんな光景をずっと見てきたからか、僕は彼に対して1番敵意を持っているかもしれない。
「いいじゃないっスかっちぃ」
(そ、そんな……)
「やめてください。さんが困ってるじゃないですか」
口には出さなかったけど、キセキの世代の他の4人もみんな彼女の事が好きだ。
バスケでは自分が1番弱くても……さんへの想いは1番強いと思ってる。
僕のキセキの世代への挑戦はバスケだけじゃない。
自分が勝手に考えてるだけだけど、さんの事も負けたくなかった。
「もぉー……フられすぎっスわ……」
(な、泣かないでよ涼太くん……)
「なら一緒に海常行こうよっちぃ……」
(それは出来ないよ……)
「そんなに黒子っちがいいんスか……」
「?!」
(な、何言ってるの……!)
とにかく黄瀬くんには任せられない。
もし黄瀬くんとさんが付き合う事になったら、きっと彼女は不安を抱えてしまうだろう。
何故なら黄瀬くんはモデルで、いつも周りに女の子が集まってくるから。
バスケが強くてルックスも良い。
本当に嫌味な人だ。