第6章 キセキの世代・黄瀬涼太
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そんな火神くんと涼太くんの様子をずっと見ていた私。
心配になったのは……涼太くんの「いいもの見せてくれたお礼」という一言で、さっき火神くんがやったフルスピードからの切り返しを……多分涼太くんは見ていたんだろうなと察したからだ。
涼太くんは見たプレーを一瞬でコピー出来るから……もしそうなら確実にやり返すだろうと。
そしてそれは見事に的中して、火神くんは涼太くんのダンクで吹っ飛ばされてしまったのである。
「!!」
(火神くん……!)
決して火神くんは弱くない。
でも彼よりパワーがあるから、涼太くんは火神くんのお尻を床に付ける事が出来た。
中学の頃と比べたら明らかに涼太くんは強くなっている。
怖いくらいに。
(でも……バスケやってる時はかっこいいんだよね、涼太くんは……)
そうなのである。
本当にかっこいいのである。
火神くんの事が心配だけど、涼太くんのプレーにドキッとしてしまった自分がいて……なんだか申し訳なくなった。
普段は全然離れなくて、まるで犬みたいなのに……バスケとなると頼もしい男の子に変身する涼太くん。
しかもちゃんと決めてくるからずるい。
……実は過去に何回も、私は彼から目を離せなくなった事がある。
本人には秘密だけど。
バレたら恥ずかしすぎる。
「なーんか拍子抜けっスわ……これじゃ素直に帰るわけにはいかないっスね」
「??」
(な、何言い出すんだろう……)
「やっぱっちください!黒子っちも!」
「?!」
(ええっ?!)
「……ついでみたいな言い方やめてください」
でもボールから離れてしまえば元通り。
私の手を握って「ねっ!俺と一緒に海常行って、んで付き合おう!」とか言ってくる。
海常に行く事と付き合う事は話が全然違うのに、涼太くんは何でもかんでも「付き合おう!」って流れに持っていってしまう人だ。
その度に私は苦笑いをするしかないのだが……
「さんを渡す気はありません。丁重にお断りさせていただきます」
「渡す気はない」と言う時のテツヤくんが、なんだかいつもより真剣に見えてしまったから気になるけど……
私の思いと一緒にキッパリと断ってくれて助かった。
……涼太くんは号泣してしまったけど。