第6章 キセキの世代・黄瀬涼太
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「ごめんっち!もう少し待ってて!」
(こ、これは絶対ハグされる……っ)
丁度私達は涼太くんの話をしていたところ。
そこへいきなり本人登場となれば驚くのは当たり前。
自分も当然目を見開いたのだが……彼のあの嬉しそうな顔からして、この後確実にホールドされると思った。
みんなが居る前でそんな事されたら、恥ずかしくてどうにかなってしまうかもしれない。
「っ……」
(テ、テツヤくん……)
「大丈夫です。僕が側にい、」
「っちーっ!!!」
「!!」
(ひゃぁっ!)
そして嫌な予感は見事に的中。
テツヤくんの言葉を遮り、更には軽く突き飛ばしてこっちにやって来た涼太くんは……軽々と私を持ち上げて身体を引き寄せた。
苦しくなるくらいキツく抱きしめてくる涼太くん。
ちゃっかり私の頬に頬ずりしてくるから恥ずかしくてたまらない。
(ちょっとっ……!涼太くんやめて……っ)
「会いたかったっスよっちぃ!」
(わかったから……降ろしてお願いっ……)
涼太くんもテツヤくんみたいに、私の言いたい事は大体わかってくれる。
なのに今は全く通じなくて……いつまでもくっ付いている状態だ。
きっと私達2人の周りには、涼太くんから放出される花だらけだろう。
「……黄瀬くん、いい加減にしてください」
「おっ!黒子っち!久しぶりっスね!」
「……そう言ってる暇があったら早くさんを降ろしてください」
テツヤくんありがとう!って、希望の光を感じた私がバカだった。
「嫌っス!離さないっスよ!」と……涼太くんは聞く耳を持ってくれない。
火神くんを見てみればなんかイライラしてるようだし、カントクや主将達は呆気に取られていて誰も助けてくれなかった。
けど早くやめさせなければ。
(ねぇ涼太くん……!)
「っち!大好きっス!」
「?!?!」
(ほっ……!ほっぺ……!)
……トドメをさされた。
ハグだけなら、まだギリギリ意識を保てそうだったのに……この人はみんなの目の前で私の頬にキスをした。
……これは昔より厄介になっている。
前はキスなんて例え頬でもしなかったのに。
(ふにゃ……)
「えっ!ちょ、っち?!」