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【黒子のバスケ】ミルフィーユ【逆ハー】

第5章 「日本一にします」


黒子side



僕が先に教室へと戻ったのには理由がある。
それは簡単に言えば……あの場に居たくなかったから。

知らない間に急接近していたさんと火神くんを……僕は見ていられなかった。
いや、見たくなかったんだ。



(かっこ悪いですね……)



脳裏に浮かぶのは、後一歩近付けば身体が触れ合ってしまうくらいの距離にいた2人の姿。

何も知らない人が見たら、怒って興奮している彼氏をなだめる彼女の図だ。

さんと年単位の付き合いをしてる僕ですら……そこまで近寄った事はない。


何故僕じゃないんだろう……。
もっと側に来てほしい……。


と、こう思ってしまう。

昔はただ一緒に居れるだけで良かった。
話せるだけで良かった。


中学の頃は嫉妬なんてあまりしなかったのに……どうしてここまで心の中で渦巻くのか。



(考えてもわかりません、さん……)



いっそ自分の気持ちを打ち明けたら……この苦しみから解放されるんだろうか。

もしフられても、さんならきっと変わらない態度で接してくれる。
僕の事を(テツヤくん!)って呼んでくれる。


……けどやはり言えないのが現状だから、こうして考え込んでいるというわけだ。



「!!」
(テツヤくん!)

「さん?……に、火神くん」

「いきなり戻んなよ!」

【そうだよ!火神くんてば階段の手すり壊しちゃうくらい怒って大変だったんだから……】



でもあまり考えてると、自分で自分を追い詰めてしまいそうだからやめる。
嫉妬もなるべくしないようにと心に決めた。


今はこの時間を大切にしよう。
まだ高校生活は始まったばかりだ。



「!!」
(テツヤくん、それ……)

「え……この本入部届がどうかしましたか?」

【うん。もう貰ってたんだね】

「つかこいつ、俺より先に貰いに行ってやがったぜ」



この先何があるかわからないけど……

さんと……そして火神くんや他のみんなとも沢山の思い出を作りたい。
スタートからこんなに落ち込んでいては、良い事も逃げて行ってしまう。


だから僕も……



(ふふっ、テツヤくん行動早い)



今のさんのように笑っていよう。



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