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【黒子のバスケ】ミルフィーユ【逆ハー】

第4章 幻の6人目





(ははっ……!やっぱ凄いやテツヤくんっ!)



あの後私の指示通りに動いてくれた1年生達。
テツヤくんにボールを集め始めた瞬間、場の空気が一気に変わったのがわかった。


ボールが勝手に進路を変えたように見え、そして気づいたら自分の手元にある……という状況が何度も繰り返されているのだから当然だ。



(カントク!見ましたか?!)

「驚いたわ……って、なんであんたがそんなに嬉しそうなのよ」

(ふふんっ!)



けどカントクは、ただ〝影が薄い〟ってだけでは納得出来なかったらしく、この後私にもっと詳しい話をしてほしいと言ってきた。

だから……

テツヤくんは、ミスディレクションという手品などで使う視線誘導を取り入れている事。
影を薄めているというより、視線を自分以外に向けるように仕向けている事。


これらを……私は時間をかけて説明した。



「なるほどね……幻の6人目の噂は聞いていたけど……」

(いますっ!ここに!)

「だからなんであんたがそんなに笑顔なのよ」



……どうやら自分、思いっきり顔が緩んでいるらしい。

そんな私にカントクが「もしかしてぇ……」とかニヤニヤしながら言ってくるけど、どうして彼女まで目尻を下げるのか全くわからない。


頭上にハテナを幾つも浮かべてしまう。



「ってもしかして……黒子くんの事好き?」

(……へ?えぇっ?!)

【違いますよっ!!私テツヤくんの事そんな風に見た事ありませんっ!!】

「あらぁ?本当かなぁー?」



いきなりの質問に動揺しながら書いた私の文字はガタガタ。
それに今はカントクしか見てないと思って、メモには正直な気持ちを表してしまった。


だが他にも見ていた人物がいたのだ。

私の背後で……今さっきまでゲームをしていたテツヤくんが、ちょっと悲しそうな顔をしながら紙を見ている。



(もう……カントクのせいで変に心臓がうるさいよ……)



しかしドキドキを抑えるのに必死な私は全然気付かない。

直ぐ後ろにいるのに……自分の事でいっぱいいっぱいで、テツヤくんの気配を感じ取れないでいた。



(うぅ……早くおさまってよぉ……)



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