第4章 幻の6人目
「!!」
(うわっ……!!火神くんのダンク凄い迫力!)
そして試合開始早々。
1年は火神くんの1人プレーになりつつあるが、そんな事より今は火神くんが決めたこのダンクだ。
ちょっと荒っぽいプレーをするけど、リングが壊れてしまうんじゃないかと思うくらいの破壊力を持つ火神くんは……本当に本当に凄いと思った。
キセキの世代のダンクを何回も見てきたのに……久々に間近で見たからか衝撃が強すぎて、私は思わず固まってしまう。
(アメリカ仕込みは違うなぁ……)
向こうの人達はみんなこんなにパワーのあるダンクをするんだろうか。
私のバスケに関する知識は日本止まりで……海外のバスケはまだ未知。
でも火神くんのお陰で興味が湧いてきた。
今度ビデオを観てみよう。
(あれ……?)
とか考えているといつの間にか目の前のゲームは進んでいた。
さっきリングにボールを叩きつけた彼が3人からマークされている。
やはり火神くんを最優先に止めないとダメだと判断したのだろうか。
(あの……カントク)
「ん?どうしたの?」
【火神くんが凄いからこうなってるんですか?】
「そうね……ずっと彼1人で点取ってるから」
確かに1年の得点源は火神くんだ。
彼さえマークしてしまえば一気に点はとれなくなるだろう。
先輩達も決して弱くはない。
流石の火神くんでもなかなか思い通りに動けていないようだ。
ならこの先輩達の作戦は一先ず成功と言える。
だけど……
「なんだよそれオイ!!!!」
(うわっ……怒ってる……)
マークが3人になる前は1年がおしてたのに、今は逆転され2年のが優位に立っている。
そんな状況と、自由にプレー出来ないもどかしさがあってか……火神くんはキレまくり。
味方の胸ぐらを掴んで睨みをきかせている。
(な、なんか嫌な雰囲気……大丈夫かな……)