第4章 幻の6人目
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【雨止みませんね……】
「そうだな……ロード削ったし時間余るなー。どうする?カントク」
「うーん……」
今日の空は起きた時からずっと雨模様。
雨より晴れ派の私はあまり気分が上がらない。
空が泣いていなければ、もう少しロードワークの時間を取れるけど……結構雨足が強いから断念したというわけだ。
(あ……ならちょっとしたゲームしたらどうかな……)
時間が余ると言っていた日向先輩。
ならその時間を使ってみんなでミニゲームをすればお互いの力も把握できるし……それに早速テツヤくんの凄さを見せる事が出来る。
早くみんなに知ってほしい。
テツヤくんは凄い!ってみんなに知ってほしい。
その機会が今訪れているなら、こう書いてカントクに見せるしかないだろう。
【ミニゲームなんてどうですか……?】
「ミニゲームね……うん、いいわね!1年の力も見ておきたいし!」
(やったぁ……!)
見事に意見が通った大成功。
上がらなかったテンションも一気に上がる。
テツヤくんの凄さを知ったらみんなどんな反応をするんだろうと、今からワクワクだ。
きっと……いや絶対驚く筈。
「5対5のミニゲームやろう!1年対2年でよ!」
そういえば昨日帰ってから、私はパソコンを使って誠凛の実績を調べた。
なんでも去年1年だけで決勝リーグまで上り詰めたとか。
誠凛は今年で創立2年目。
つまり今の2年生だけで決勝までいったという事だ。
それってかなり凄いと思う。
「じゃあは試合の記録を……」
「!!」
(あ、もう準備出来てます!)
「早いわね!流石元帝光中マネージャー!」
昨日とは違って、もう呼び捨てになっていたのはまあ気にしない。
データを残す事もそうだけど、ドリンクやタオルの用意とか……とにかくマネージャーがやる仕事には自信ある。
何事も早めにならないと、あそこでは全然間に合わなかったから……もう癖になっているんだ。