第3章 黒子は僕です。
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お店の人にお水を貰って、なんとか持ち直した火神くん達と一緒に私も公園にやって来た。
彼がアメリカにいたことや、日本のバスケへの諦めも全部聞いたけど……
今のキセキの世代達の考えより、火神くんの「血が沸騰するようなバスケがしたい」という考えのが私は好きだ。
絶対そっちのが楽しい筈だから。
「確かめさせてくれよ。キセキの世代がどんなもんか」
「奇遇ですね。実は僕もキミとやりたいと思ってました」
「さっきは 嫌です とか言ってたじゃねぇか!」
「あれは忘れて下さい。では……1on1」
でもそれはテツヤくんも同じだと思う。
だから彼は3年の全中後、部活を辞めたんだ。
その頃は私も嫌になりつつあって、何度もマネージャーをやめようと考えた。
みんなが協力する事をやめて、個々にプレーする姿を見たくなかったから。
けど……辞めなかった。
止められたってのもあるけど、私は最後までみんなと一緒に居たかった。
……残ったのは寂しさだけだったけど。
「ふざけんなよテメェ!!どう自分を過大評価したら俺に勝てると思ったんだオイ!!」
「まさか。火神くんの方が強いに決まってるじゃないですか」
と、語っている間に勝負は終わったようだ。
テツヤくんは仲間がいるから強いわけで、1人ではやっぱりダメだろうなと思っていたけど正にその通り。
お陰で火神くんの頭には血が集合している。
「ったくもういいわ、けど最後に一つ。お前バスケ辞めた方がいいぜ」
「それは嫌です」
【火神くん、テツヤくんと1on1するからいけないんだよ】
「はっ?!」
「……さん、ちょっと傷付きました」
(あっ……ごめん!変な意味はなくて、その……)
「大丈夫です、わかってますよ」
テツヤくんは影だ。
今は本当の強さを見せてあげられないけど、他の仲間も加えてプレーすればきっと……火神くんもテツヤくんの凄さを分かってくれるだろう。
(その日が早く来るといいな……)