第3章 黒子は僕です。
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(あっ……火神くん)
「げっ!」
(げっ……?)
どうしてそんなに嫌そうな声を出したのかはわからないけど、私の2杯目のバニラシェイクが半分になった頃に火神くんがやって来た。
手に持っているトレイには山積みのハンバーガー。
……これを全部1人で食べるのだろうか。
私では1個も食べられない。
「なんで居んだよ!」
(なんでって……えっと……)
【バニラシェイク飲んでるの】
「んなの見りゃわかんだろ!……1人か?」
(え……?)
「……外暗ぇぞ。女が1人で……」
何やらブツブツと呟く火神くん。
そして何故か顔が赤い彼は、私達が座っている席の空いてる椅子に腰を下ろした。
女が1人で……
というのはなんとなく聞こえたけど、私は今1人ではない。
(あ……火神くんには見えてないんだ、テツヤくんが……)
私とテツヤくんが顔を見合わせる中で、火神くんは窓の外を見ながらハンバーガーの包みを開けている。
「ったくなんで……」
「早速かよ」
「つかなんで俺ここに座った?!」
と言う彼の独り言は全てこちらに筒抜け。
一体何に対して呟いているのか……まだ私にはわからない。
「ん?……ぐおっ?!」
「……どうも。育ち盛りですね」
「どっから……?!つかいつから居たんだよ!!」
「最初から居ました。だからさんは1人じゃないです」
火神くんが気付いたキッカケは、窓に反射して映ったテツヤくんの姿。
お尻が椅子から浮いてしまうくらいの驚きようだったから……私はついクスッと笑ってしまった。
「笑ってんじゃねぇよ!」と、さっきより真っ赤にした顔で私に言う火神くんはなんだか可愛い。