第9章 ここにいる理由③(黒尾&孤爪)
「で?ナギは結局なに作ったんだ?」
帰ってきた黒尾は興味津々で話を聞く。
少し酔っぱらっているようで、テンションも高い。
「カレー」
「ぶは…っ!小学生かよ!」
「クロうるさい。」
「お、研磨のマネか?似てる似てる!」
不満そうな早川の頭を黒尾はくしゃっと撫でた。
「似てないし。俺そんなんじゃない。」
「で?味は?うまかった?」
「別に普通だよ。でもナギはおかゆしか食べれないし。
俺だってそんなに食べないからすごい残ってる。」
「じゃあせっかくだから俺が夜食で食べようかなー。」
黒尾がどれどれ、とキッチンで鍋のふたを開ける。
「おお。普通にうまそうじゃん。」
火をつけて、カレーを温め始めた。
「ナギは大分元気そうだな。」
「うん。二人のおかげかも。こんなに楽しいの久しぶり。」
彼女の笑顔に、黒尾も安心する。
「よかったよ。もう飯も普通に食べれそう?」
「うーん。おかゆとか麺類くらいなら……。
吐き気は収まったけど、まだ胃は痛いし。」
「そうか、まあ無理すんな。」
黒尾は炊飯器から器にご飯を盛りながら会話をする。
「それでね、明日俺たちナギの家に行って少し荷物取ってこようかと思うんだけど、良いよね、クロ。」
「おう、そんだけ元気なら大丈夫だろ。行って来い。」
火を止めて、カレーをよそって戻ってくる。