第9章 ここにいる理由③(黒尾&孤爪)
「ちょっと家に戻って荷物取ってこようかな。」
午後になって、意外に元気になってきたのか、早川がそう言いだした。
「今日はダメ。
ご飯食べれるようになるまでは家から出すなってクロから言われてる。」
孤爪にそう却下され、早川は残念そうな顔をする。
「どうしても必要なものがあったら俺が代わりに取ってくるけど。」
「ううん。いい。」
「じゃあ我慢して。今夜少し食べれたら、明日俺と一緒に行こうよ。」
早川は頷いた。
「ねえ、今夜は私と研磨だけなんだよね?」
「うん。クロは遅くなるって言ってた。」
「じゃあ、私が何か作ろうかな。」
「えー……なんか心配。」
「失礼だなあ。クロよりは下手だけど、ちょっとくらいは作れるよ。」
彼女はそう言って孤爪のipadをいじりはじめた。
今夜のメニューを調べているらしかった。