第8章 ここにいる理由②(黒尾&孤爪)
「シャワーありがとう。さっぱりしたあ。」
孤爪から支給されたTシャツと短パンに身を包んだ早川が、
濡れた髪を拭きながら現れた。
「あ、ナギだ……。」
「ああ。ナギだな。」
二人からジロジロとみられて、早川は少し戸惑う。
「なに……?」
「いやあ、化粧落として巻いた髪まっすぐになったら
急に俺たちの知るナギになったなって。なあ研磨?」
「ヒラヒラしてないしね……。」
孤爪もコクコクと頷く。
早川はむうっと頬を膨らませて見せた。
「ひどいなあ二人とも。」
「別に貶してるわけじゃないぞ?そのほうが俺たちにとってはなじみのある姿ってだけで。」
さあ食べよう、と黒尾に促されて早川は食卓に座る。
「これ、クロが作ったの?すごいね。」
「そうか?休みの日はこれくらい普通に作るぞ。」
三人はいただきます、と手を合わせて食べ始めた。