第8章 ここにいる理由②(黒尾&孤爪)
「クロ、クロ起きてよ!」
黒尾がリビングのソファでウトウトしていたら、孤爪の声で起こされた。
「あ?いっけね、寝てたか……。おかえり。」
「なにのんきなこと言ってんの。玄関の靴なにあれ。
女の人連れ込んだら俺出てくって言ったよね。」
怒りながら孤爪は抗議する。
「あ、ちがうちがう。ナギだよ。ナギが来てんの。
このまえ言っただろ?偶然再会したって。
今俺の部屋で寝てるから。」
「……ああ、そういえばそんなこと言ってたね。」
孤爪が怪訝そうな視線を送る。
「クロ、まさかナギに変なこと……。」
「してねえよ。疑うならあとであいつに確認してみろ!
ていうかそんなことがあった後にスーツ来てこんなとこでうたたねするかっつーの。」
「……それもそうだね。」
孤爪は詰問するのをやめてキッチンに向かう。
冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出して、ごくごくと飲んだ。
そんな彼に向かって、黒尾は一つの提案をした。
「なあ研磨。相談なんだけどさ……。」