第7章 ここにいる理由①(黒尾&孤爪)
結局、黒尾がドトールに現れたのは45分後だった。
もしかしたらもういないかも、と心配していた黒尾は、店内に彼女の姿を見つけてほっとした。
「わりい、遅くなって。」
黒尾が早川の座る席に近付くと、彼女は顔を上げた。
「お疲れ。……来ないかと思った。」
「そんなわけねえだろ。」
「うん。ごめん。クロはそんな人じゃないよね。」
彼女はそう言ってさっきまでとは雰囲気の違う、気の抜けた笑顔を見せた。
「どうする?どっか飲みに行くか?ここもうすぐ閉店だろ。」
スマホで時間を確認しながら黒尾が提案する。
「クロ、そんなに飲んで平気?さっきも結構飲んでた。」
「全然。俺結構強いから。じゃあどっか行くかー。
終電はまだ平気だろ。お前今どこ住んでんの?」
「下北。」
早川の返事に、黒尾は目を見開く。
「まじで……?俺も下北。」