第6章 星をさがしに(国見&金田一)
一足先に着いていた金田一が階段のふもとで待っていた。
「おっせーぞ。」
「おまたせ……はあ、ちょっときゅうけーい……。」
凪沙は呼吸を整えながら階段に座った。
「時間まだ平気なのか?」
「3時からがピークっていうからまだ大丈夫なんじゃないかな。」
俺は携帯で時間を確かめて答えた。
「ったく、ほら凪沙、それ持ってやるから。行くぞ。」
金田一が凪沙の肩に掛かったトートーバッグを手に取った。
「よっし、回復してきた!」
凪沙は立ち上がると、俺たち二人を振り返って
「じゃあ、10秒だからね!」
そう言ってニヤリと笑って見せる。
「10秒くらいじゃ全然余裕だな。」
金田一が鼻息荒く階段を見上げる。
「えー、今日もやるの?疲れるからやだよ。」
やる気をみなぎらせる二人に、俺は抗議するが、無駄なのは分かっている。
「英ちゃん、元気出して、はい。」
そう言って凪沙は素早く俺の口に何かを入れた。
「……キャラメル?」
俺は口を動かしながら答える。
「正解。」
「俺にはくれねえの?」
「ゆうちゃんにもあげるよ。」
金田一がそう言って出した手に、凪沙は紙に包まれたキャラメルをコロンと乗せた。
「サンキュ。」
凪沙は自分の口にもキャラメルを一粒放り込んで、改めて階段に向く。
「じゃあ行くよ。10数えたら二人も来てね。よーい、どん!」
凪沙は掛け声と同時に階段を駆け上った。
俺と金田一はその後姿を見ながら10数える。
「いーち、にー、さーん……。」
金田一が足首を回して準備をはじめる。
俺は凪沙の背中を眺める。
やっぱり髪の毛がぴょんぴょんしてるなあとどうでもいいことを思う。
「……はーち、きゅー、じゅう!」
俺たち二人は同時に階段を上り始める。