第1章 真夏の君 (影山 飛雄)
「あ、ひまわり!」
突然そう叫んで凪沙は走り出した。
街路樹に混じって、ひまわりの群が満開となっていた。
「こんなとこに……誰か植えたんだろうな。」
「かわいい。ひまわり久しぶりにみた。」
はしゃぐ凪沙に俺は少し驚いた。
「東京にはひまわりもないのか。」
「なくはないんだろうけど。こんな風には咲いてないかな。」
あまりに彼女がかわいいかわいいとひまわりを眺めて喜んでいるので、
俺も付き合って一緒にひまわりを鑑賞する。
「ねえ、飛雄。」
「あ?」
「私、飛雄のことずっと好きだったんだよね。」
「はあ!?」
さらりと何てこと言いやがるんだこいつは。
「だってさっき、そろそろ告白でもしてみようかなって言ったら、
飛雄が『すれば』って言ったから。」
「だからってまさか俺に……」
俺がモゴモゴと口の中で呟くと
彼女はいたずらっ子のような表情で、俺を見つめる。
「飛雄は?私のこと好き?」
「す、好きに決まってんだろうがボゲエ!!」
「やったー。両想いだね。」
えへへと笑う凪沙を見て、
こいつには一生敵わないんだろうなと思う。