第4章 37.9度(赤葦 京治)
「早川!どうした!?」
乱暴に扉を開けると、廊下に倒れた赤葦と、
その下敷きになって身動きが取れなくなっている早川がいた。
「木葉、助けて!」
急いで靴を脱いで廊下に上がり、赤葦を起こしてやる。
「大丈夫か?」
「うん……。ありがと。京治ベッドに運ぶの手伝ってもらえる?」
「ああ。二階?」
「うん。」
二人で赤葦を持ち上げて部屋へ運ぶ。
ベッドへ寝かせて、二人は一息つく。
「はあ、大変だったね……。」
「熱もさっきより上がってるかもな。って、お前なんて顔してんだよ。」
「だって……。」
早川は青ざめて不安そうな表情を浮かべる。
「俺もう部活もどらなきゃいけないから、いいな?あと任せたぞ。」
「うん。がんばる。」
依然不安そうに頷く早川を見て、木葉は小さく舌打ちしてから口を開いた。
「……まったく。いいか、練習終わったら薬とか買ってきてやるから、それまでに何か食わせて、水分とらせて、汗かいたら着替えさせとけ。
大丈夫だよ、普通の人間より鍛えてんだからこのくらいどうってことないって。」
「……うん。分かった。ありがとう。」
早川はさっきよりも力強く頷いた。