第4章 37.9度(赤葦 京治)
「おいこいつやべえぞ。家じゃなくて病院連れてくか?」
「でもいったん家じゃない?保険証とか必要だし……。」
早川の言葉に、木葉が頷く。
「だな。」
「だから、二人で仲良くしないでくださいって。
俺本気で悩んでんですからあ。」
「あーもうホントめんどくさい。木兎以上だぞ。」
さすがにうんざりしてきた木葉は歩く速度を速めた。
ようやく赤葦の家の前までたどり着いて、木葉はほっとする。
「よし、じゃあ俺は学校戻るから。
赤葦、手はなすぞ自分で歩けるな?」
木葉から離れて、赤葦はふらふらと門を開けて玄関へと向かう。
「家の人いないみたいだし、早川は付いててやんな。
あいつ、なんかお前に甘えたいらしいし。」
「病人の言うこと真に受けないでよ。
でも心配だからちょっと様子見てから帰る。木葉、ありがとね。」
そう言って早川は赤葦の後を追った。玄関のドアを開けて、
二人で無事に入って行くのを見届けてから木葉はやれやれと一息ついて、道を引き返そうとする。
ところが、
ガタン!!
と、家の中で何かが倒れたような大きな音がして、木葉はドキリとする。
すぐに早川の悲鳴も聞こえてきたので、門を開けて玄関へ走り寄る。