第3章 東峰、部活やめるってよ。(菅原 孝支)
「じゃあ、次。吹奏楽部お願いします。」
司会の人に促されて私は立ち上がる。
「吹奏楽部は、入学式での演奏を予定しています。合奏練習は合唱部と相談しながら音楽室を使っていますが、
可能であれば体育館でのリハーサルをしたいので、
体育館使用の部活には協力してもらえるとありがたいです。」
私はそう言うが、恐らく誰も聞いていない。
部長の藍ちゃんだけはうんうんと頷いてくれる。
クラブ会なんてこんなものだ。形だけの雑用。
「では、体育館の件は後日顧問を通して具体的な話をさせていただきます。以上です。」
私はそう告げて、着席した。
バレー部は例の噂もあったので少し気になって聞いていたが、
普通に試合の予定と新入生勧誘のことを話しただけだった。
それでも菅原君はかっこよかった。見てるだけでキュンと胸が締め付けられる。
叶うはずもない、誰にも知られずに消えていく恋。
私はそんな状況にも酔っているのかもしれない。