第21章 affettuoso(孤爪 研磨)
「別に仲がいいことが悪いっていうんじゃないけどさ。」
学校への道のり、クロの説教は止まらない。
「うん。」
「中1まで一緒に風呂入ってるのもどうかと思ったけど。」
「今はもうやめたんだからいいでしょ。」
めんどくさいなあと思いながら、無視するともっとうるさいから一応聞くことにしている。
「だとしても一緒に寝るのはどうかと思うぞ。常識的に考えて。」
「だから、凪沙が勝手に入って来ただけだってば。」
「お前、凪沙に甘すぎ。」
「父さんと母さんはもっと甘いよ。」
「それは知ってるけど。俺は、お前たちっていうか主に凪沙のこと心配してんの。」
「うん。」
クロは、俺なんかよりもよっぽど凪沙のお兄さんっぽいんだ。
「学校、やめちまったんだろ。」
「うん。」
「バイトは?」
「今は、駅前のドーナツ屋さん。」
「今度は大丈夫なんだろうな。」
「うん、ちゃんと確認した。」
凪沙は、あんなだけど顔は一応ちゃんと可愛い。
だからだろうか、パンツ見えるほどのミニスカートでティッシュ配りとか、セーラー服で接客する店とか、どこからか怪しいバイトばかり決めてきてはおれとクロをヒヤヒヤさせた。
父さんと母さんに知られる前に辞めさせるのも一苦労だ。