第17章 てのひらの恋(澤村 大地)
「じゃあ、解散。」
「おつかれー。」
店の前で流れ解散となって、ばらばらとみんなは駅に向かう。
俺は外の寒さのせいか、途中トイレに行きたくなってコンビニに寄った。
そして、駅に一人でたどり着いたとき、ロータリーのある広場で彼女を見つけた。
「ねえ、カラオケいこうよー。」
「まだ終電大丈夫でしょ?遊ぼうよ。」
知らない男に囲まれて、明らかにナンパをされているのは早川さんに間違いない。
彼女もまんざらでもないといった表情でヘラヘラと笑っている。
見ないふりをして通り過ぎることだってできた。
それなのに俺は、気付いたら彼女に声をかけていた。
「なにしてんですか。探しましたよ。勝手にうろうろしないでください。」
早川さんと、ナンパ男たちが一斉に俺の方を向く。
「え、なに。連れがいたの?」
「なんだよーだったら先に言えよなー。ったく。」
ぶつぶつと文句を言いながら男たちは去って行った。