第2章 ハッピーアンブレラ (日向 翔陽)
昨日と同じように、俺が傘を持って並んで歩く。
パタパタと傘に雨の当たる音が俺たちを包む。
「あ、また。」
早川の視線の先には、また昨日のカップルが仲睦まじく相合傘をしていた。
「ほんと、仲良いね。ああいうのってどういう気分なんだろうなあ。」
早川が少し遠い目をしてつぶやく。
「あのさ。」
俺は緊張しながら口を開いた。
早川が俺を見上げる。
「早川はさ、こういう、男子と一緒に帰ったりとか、よくするの?」
「しないよー。日向くらいじゃないかな。
私そんなに男友達いないし。」
彼女はこう付け足した。
「ほら、昨日も言ったけど、
私は男子を誘ったりとかそういうの恥ずかしくて苦手だから。」
「お、俺だって男なんだけど……!」
彼女の笑顔が固まるのが分かった。