第2章 ハッピーアンブレラ (日向 翔陽)
しかし、部活が始まっても雨はなかなか降らなかった。
「降らねえなあ。」
俺が雨雲に覆われた空を仰いでつぶやくと、影山が不思議そうに答える。
「あ?降らないならそのほうがいいだろ。変な奴だな。」
「まあそうなんだけどさ。」
雨が降らなきゃ早川と一緒に帰れない。
そんなことを期待している俺はなんだか卑怯な気がして嫌だけど。
「うわ、ついに降ってきたなー。」
部活ももうすぐ終わろうという頃になって、菅原さんのその声を俺は心の中でガッツポーズをした。
「ほんとだ。帰りまでもってくれたら良かったのにな。」
「まあ、仕方ないっすねー。」
みんな雨の降りだした外を眺めて声を漏らす。