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【ハイキュー】短編中編つめあわせ

第15章 そんなふたり(岩泉 一)


残された早川と岩泉は、しばらく何も言わずに見つめ合う。

(は、話すって……何をだ?)

なにか話題を探さなくては、と部屋中を見回してみるが、特に鍵になりそうなものは見当たらない。

「あの、よかったらどうぞ。座ってください。」

ベッド脇の椅子をすすめられて、岩泉は大人しく腰を下ろす。

「さっき花巻さん?が言っていたのは、本当ですか?あなたは私の彼氏なんですか?」

早川が首をかしげる。

「……ああ。一応な。」

改めて聞かれると恥ずかしくなって、つい曖昧に答えてしまう。

「一応?てことは、ケンカ中とかでした?」

不安そうに彼女が聞くので、すぐに反省する。

「いや、ケンカなんてしてない。したこともねえ。普通に仲良く付き合ってるよ。俺たちは。」

「そうですか……。
私、何にも覚えてないけど、あなたのことが好きだったんだなって言うのは、
なんとなく分かる気がします。不思議。」

ふふっと早川は笑うと、思いついたように彼に向き直る。

「ねえ、私ってどんな女の子でした?どんなところが好きで付き合ってるんですか?」

そう聞いてくる彼女の目が、少し楽しげに見えた。

「そ、そういうことは……。」

自分で考えろ、いつもの自分ならそう返しているのだが、
今の彼女はいつもとは違う。

岩泉は、一度大きく息を吐いた。

「……お前は、明るくて、時々うるさいくらいで、
でも俺は、お前のその笑った顔が最高にかわいいと思ってた。
今回入院したって聞いたときも、心配で心配でどうにかなりそうだったけど、
元気なお前の顔をみたら、心からほっとして、
ああ、よかったって思ったのに……。
それなのに、こんなことになって……。俺は……。」

岩泉は、眉間にしわを寄せて、苦しそうな表情で早川の目を見据えた。
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