第15章 そんなふたり(岩泉 一)
「え、どうしたの!?なにか思い出した?」
及川がすぐに反応して早川の肩を掴む。
岩泉は、気安く触んなと思ったが、状況が状況なので堪える。
「ええと、よくわかんないんですけど、この人と、何か話したら少し思い出せそうな……。
気のせいかもしれませんけど。」
そう言って早川は岩泉に顔を向けた。
「え、岩ちゃん?」
「そりゃ、彼氏だもんな。他の奴らよりは何かあるんじゃねえ?」
松川が納得したように頷いてみせる。
「確かに。少し二人でしゃべってみれば?俺たち席外すからさ。」
花巻がそう提案すれば、三人は岩泉を残して病室を出た。